レノバは、バイオマス発電によって生み出されたグリーンな電気を供給することで、2050年カーボンニュートラル目標の実現に貢献します。
当社では、木質チップ、木質ペレット、PKS(パームヤシ殻)等の木質バイオマス燃料を使用して発電し、グリーンな電気を提供しています。
レノバは、2024年4月現在、大型バイオマス発電所を国内7か所で運転または建設中であり、これらがすべて運転を開始すると総発電量は年間で約3,000GWhにのぼり、これは一般家庭の約100万世帯分にあたります。
また、秋田バイオマス発電所では燃料の約7割を秋田県内から調達し、地域の林業の活性化やエネルギー自給率の向上に貢献しています。苅田バイオマス発電所でも北部九州産木質チップを調達し、県内及び近隣地域からの調達割合のさらなる向上に取り組んでいます。
バイオマス発電における
サステナビリティの取り組み事例
レノバは、バイオマス発電所の設計・建設における、水・大気・周辺環境、動植物への影響を最小限にとどめることを重視しています。
また、地域の皆さまとの「共存共栄」につながる事業を目指しており、対話を通じて、地域の皆さまに安心頂けるような配慮や取り組みを行っています。
カーボンニュートラルの
実現に向けた取り組み
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循環型社会実現に向けた取り組み
レノバは、バイオマス発電に伴い発生する廃棄物を可能な限り低減するとともに、発生した廃棄物の適切な処理と最大限のリサイクルにより、循環型社会の実現に貢献します。
バイオマス発電で生じる廃棄物としては主に、木質バイオマス燃料の燃焼によって生じる燃焼灰があげられます。レノバでは、この灰を路盤材・セメント等へリサイクルしています。
さらに秋田バイオマス発電所では、木質バイオマス燃料を燃焼前に乾燥させる乾燥機の熱源として建築廃材を利用しています。 -
地球・地域の環境に対する取り組み
レノバは、事業が与えうる水・大気・周辺環境への影響を最小化するための取り組みを実施し、地球環境への負荷が小さく、地域の皆さまに受け入れられる事業を目指します。
水資源については、バイオマス発電所が排出する温排水による影響を最小化するために、タービンから排出された蒸気の冷却方法を、水冷方式でなく空冷方式に変更する等の取り組みを実施しました。現在建設中の石巻ひばり野バイオマス発電所・御前崎港バイオマス発電所は、当初の設計では近隣の海水を取水して冷却用途に用いる海水冷却方式(1日約30万トン取水して海水温+7℃で排水)を、仙台蒲生バイオマス発電所では工業用水を用いた水冷方式を設計段階で構想していました。しかし、各地域とも漁業者の方々の懸念に配慮し、当初の設計を変更して空冷方式に転換することとしました。
また、バイオマス発電所では、建設工事中から一貫して油やごみの海洋への流出がないように油水分離槽を設置しています。
さらに、周辺住民の住環境を保護するために、悪臭・粉塵に対しても対策を行っています。例えば、仙台蒲生バイオマス発電所・御前崎港バイオマス発電所・徳島津田バイオマス発電所では、悪臭や粉塵の原因となりうるPKS等のバイオマス燃料を屋外にそのまま保管するのでなく、燃料タンクや燃料倉庫を設置して保管しています。
粉塵対策としては、防塵壁・ネットの設置や散水によって、近隣の工業団地・住宅への飛散防止に努めています。 -
生物多様保全に向けた取り組み
レノバは、事業によって生じうる生物多様性への影響を可能な限り低減させるため、環境アセスメントの確実な実施に加えて、地域の皆さまと積極的に対話を行い、必要な対応策を講じるなど、生物多様性の保全に努めています。
例えば、現在建設中の仙台蒲生バイオマス発電所では、同発電所に近接する蒲生干潟に希少な動植物の生息が確認されていました。地域の皆さまとの対話や当社が実施した環境アセスメントを通じて、同地域に生息する動植物の生態に理解を深めるとともに、設計段階から同地域の生物多様性の保護に資する方策を検討しました。この結果、仙台蒲生バイオマスでは、近隣の大学の専門家等の意見を参考にし、蒲生干潟に生息する自生種・郷土種の植生を生かした植栽地を、発電所の敷地内に造成しています。 -
地域の方々との真摯なコミュニケーション
レノバは、発電所建設・運転に伴う地域の皆さまの懸念に正面から真摯に向き合い、開発の初期段階から開かれた対話を行うことを重視してきました。開発段階では、環境アセスメントに基づく法定説明会に加え、自主説明会も各町内会・自治会単位で頻繁に開催し、事業の説明・懸念点の聞き取りを繰り返し行いました。
例えば石巻ひばり野バイオマス発電所や仙台蒲生バイオマス発電所では、温排水が海洋環境に与える影響への懸念に応えるため、環境アセスメントに加え、漁業影響調査を行うとともに、ボイラーの冷却方式を転換するなどの対応を取りました。
また建設開始後も、地域の皆さまとコミュニケーションを継続しています。例えば徳島津田バイオマス発電所では、地域の皆さまに建設工事の進捗報告や建設現場の案内を行うことで、発電所への理解を深めていただけるような機会を創出しています。 -
地域への歴史・文化・賑わいへの貢献活動
レノバは、発電所の地域と共存共栄の関係を築くことを目指しており、地域の営みや歴史、文化を尊重することが重要と考えています。
例えば、秋田バイオマス発電所では、燃料の約7割を秋田県内で調達を行っています。これにより、林業者の方々にとって今まで販路が限られていた林地残材を燃料として販売することが可能になり、チップ工場が県内に複数新設されるなどの投資を生み出し、県内林業の活性化につながっています。これに加え、使用燃料の約3割を占める輸入PKSの荷揚げを通じた港湾の活性化を実現するなど、継続的に雇用を生み出しています。さらに、地域住民向けに発電所見学を広く受け入れることで環境学習に貢献するとともに、発電所見学料収入の全額を2009年に設立された「千秋公園さくらファンド」に寄付(2016年度から4年間で約190万円を寄付)しています。本ファンドは、秋田市の名勝に指定された千秋公園(久保田城跡)の桜を次世代に伝えることを目的に設立されたもので、当社は本取り組みを通じて地域の自然・文化の継承に貢献しています。また、社会福祉法人一羊会が運営する障害者支援施設で製造された「秋田杉クッキー」を発電所で購入し、発電所の見学者にお土産として配布することで、継続的な就業機会の提供に貢献しています。苅田バイオマス発電所でも、燃料の一部に隣県の北部九州産の木質チップを使用しており、地域の林業の振興に貢献しています。
仙台蒲生バイオマス発電所では、地域の漁業の維持発展に貢献するため、事業による利益の一部を稚魚・稚貝の放流事業に協賛・寄付を行う予定です。さらに同発電所の構内には、震災前後の地域の歴史や再生可能エネルギーに関する「蒲生なかの郷愁館」を設置予定で、展示内容については地域の方々と定期的に打ち合わせを行っています。さらに、同発電所建設後も、東日本大震災で被災した近隣の小学校の跡地に立地する慰霊碑から海を見渡せる景観を維持するため、当初の設計から建屋の構造を変更しました。
徳島津田バイオマス発電所では地域の皆さまのご要望に応じ、公民館の老朽化した机や椅子などの備品を高齢者の方々が扱いやすい軽量なものへ更新するなどの取組を行っています。また、将来的にバイオマス発電所を起点とした環境・林業学習に貢献するため、地元産木材を利用した施設の建設を予定しています。さらに、環境・林業学習のコンテンツ制作や燃料の国産比率を高める取り組みである早生樹の育成について、地元の林業・建材事業者と連携することも計画しています。