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平野社長がバイオマス発電事業に取り組まれたきっかけをお教えください。
私が社長を務めるユナイテッド計画(株)は、廃棄物処理事業を行っており、廃棄物の焼却熱を利用して所内電力の自家発電をしています。2012年のFIT制度の施行を見て、この知識経験をバイオマス発電に活かせるのでは、と思いました。最初は、技術的に自家発電を少しスケールアップするだけだという単純な考えでいましたが、計算してみるとなかなか収支が合いません。想定していた以上に大型化しなければならないし、燃料として県内未利用材の比率を高めないといけない。そんな量はとても集まらない、これは大変だと思いました。
どのように難題を乗り越えられたのでしょうか。
秋田県の農林水産部林業産業木材課に行ったら、たまたま林野庁から出向されていた技監がおられました。高い志をお持ちの方で、私と一緒に全県の林業者を回ってくれたんです。一軒一軒、一緒に歩いて話を伺ううちに、思ったより秋田の林業は機械化が進んでいて、そのおかげで若い跡継ぎの方がいっぱいいることが分かりました。後を継ぐ若い方は、10年、20年の目処のある事業であれば投資をする意欲がある、これはいける!と思いました。人との出会いの積み重ねが突破口でした。
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レノバとのパートナーシップはどのように始まったのですか?
レノバさんとのそもそもの出会いは、東日本大震災で被災した、仙台港近辺の産業廃棄物を一緒に組んでユナイテッド計画のプラントで処理したことです。思えば不思議な縁です。バイオマスについて、事業の前提が見えてくる中で、レノバさんとのパートナーシップが進み始めました。林業者・プラント・地方資本の我々と、ファイナンスの組成・事業計画・法律の得意なレノバさん、分担して補完しあって大変いいスキームを作ることができました。レノバさんのいいところは、大手商社とは違って、これから成長していく会社だということです。フレンドリーでもあり、厳しいところもあり、我々も一緒に成長していけるのでは、と思える大切なパートナーです。また、地域とともに歩もうと努力し、地元の人々や企業を尊重する姿勢も信頼できました。
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平野社長の情熱が生んだUREバイオマス事業の地域における意義を教えてください
既存産業の活性化に貢献でき、物流を動かし、秋田港を動かし、雇用も生まれたことです。特に全県の林業者さん達が共鳴してくれて、全県にチップ工場が生まれました。これはとても嬉しいことです。さらに、意欲的な林業者さんは、バイオマスの為に杉の間に早生樹を植えようと考えています。これは今までになかった新しい領域です。今考えると無謀だったかな、とも思いますが、秋田県庁や県知事、技監、林業者さん、銀行などたくさんの方々にご協力いただいて、地方発で全県に波及する新しい事業を興すことができました。中小企業でもこんなことがやれるんだ、という理解が広まってくれれば嬉しいです。
「再生可能エネルギー事業」に対する平野社長のお考えをお聞かせください
再生可能エネルギーは持続可能な社会を築くために大切な事業です。消費者の皆さまにFITによる電気代を負担いただいていますけれど、事業採算性の高いインフラ事業を民間のお金と民間の力でやっている事はもっと評価されるべきだと思います。レノバさんには、もっと大きなチャレンジを通じて、再生可能エネルギー事業が素晴らしい仕組みだと証明していただきたいと思います。
※インタビューをお受けいただいた方のご所属・お役職等は、取材当時または掲載当時のものです。